住宅会社の営業マンOBのファイナンシャルプランナーが「火災保険」のことを解説します。
初めて火災保険に加入する方、加入している保険を見直したい方、火災保険の加入に失敗したくない方に、火災保険の基本用語から有効な加入方法など、検討する方に分かりやすい解説を心がけ更新しています。不明なこと、ご質問は【お問い合わせ】からお気軽にどうぞ。

目次
火災保険の補償内容。
火災保険は「火事で家が焼けてしまったとき」だけではなく、風災や水災などの損害も補償の対象となります。さらに、盗難や突発的な事故による損害についても補償するものもあります。
補償の範囲は加入する方の要望によって決めますので、加入にあたっては、どのような損害が補償されるかを確認する必要があります。
例えば、
補償内容に「盗難」を加えておかなければ盗難による損害は補償されません。
補償内容に「不測かつ突発的な事故」を加えておけば、テレビを運んでいたときに誤って落としてしまった結果、床が壊れた(建物)、テレビが壊れた(家財)場合にも補償を受けることができます。
補償の範囲を幅広くした場合には万が一の時にも安心ですが保険料は高くなります。補償範囲を狭くすれば保険料は安く抑えることが出来ますが、万が一の時に補償されない可能性があります。
今回は基本補償「風災、ひょう災、雪災」についての解説です。
「風災、ひょう災、雪災」
どの保険会社の商品でも「風災、ひょう災、雪災」この3つの自然災害をセットにし扱われています。
ここ数年今まで経験したことのない「巨大災害」が続くようになってきています。一時的な気象条件ではないことを私たちは理解しています。
火災保険では災害を起こさないようにすることは出来ませんが、被災してしまった後の家屋の修理や生活再建には大いに役立ちます。
風災
「風災」とは、風による災害のこと。
台風・突風・竜巻・暴風など、日本では毎年のように台風による強風により損害が発生しています。
最近では、
2018年9月4日の台風21号、近畿地方を中心に最大瞬間風速50m/s超の猛烈な風で多くの被害が発生。
2019年9月9日の台風15号、千葉に上陸し関東各地で記録的な暴風(千葉では最大瞬間風速57.5m/s)。ゴルフ練習場のポールが倒壊して民家に直撃したほか多数の被害が発生。
そして、
この記事を書いている本日2020年9月4日、明日の5日夜に「特別警報クラス」の台風10号が沖縄地方に接近し勢力を変えずに北上するとの予報が出されています。
被害例
強風で屋根が吹き飛んだ(建物の損害)
風に乗って物が飛んできて窓ガラスが割れた(建物の損害)
強風で割れたガラスから雨が侵入し家財に損害が発生した(建物と家財の損害)
突風でカーポートの柱が傾斜してしまった(建物の損害)
強風で敷地内に置いていた自転車が倒れ壊れた(家財の損害)
※上記は全て火災保険で補償されるケースです。
※敷地内のカーポートや簡易物置は「建物」に含まれます。
※敷地内の自転車は「家財」です。125cc以下の原付バイクは家財となります。
ちなみに、
強風が原因でのケガは「傷害保険」、
自家用車やバイクの損害は「自動車保険の車両保険」、
火災保険適用外の損害も発生するかもしれません。火災保険以外の損害保険もご検討ください。
千葉のゴルフ場練習場のケース
大きなニュースとなり全国から注目され、記憶にも新しいのではないでしょうか?
仮に、同様な事故が我が家で発生した場合には、
★火災保険に加入している場合、
補償内容に「風災・ひょう災・雪災」を加えていなければなりません。
※補償内容に含んでいない場合には損害があっても火災保険では補償されません。
保険の対象は?
「建物のみ」建物の損害分が補償されます。家財の損害は補償されません。
「家財のみ」家財の損害分が補償されます。建物の損害は補償されません。
「建物と家財の両方」両方の損害分が補償されます。
「新価払い」?「時価払い」?(契約内容を再確認ください。)
新価払いの場合、修理代金全額もしくは全壊の場合には同等建物の新築費用額。
時価払いの場合、新築後の経過年数によって経年劣化分を差し引いて計算される現在の額となります。そのため、実際の損害額も差し引かれた額(時価)で計算されますので、損害額満額の保険金を受け取ることが出来ず、工事費用の一部は自己資金で負担することになってしまいます。
※大事な点です。この記事をご覧になった方は自分の保険が「新価払い」か「時価払い」か確認ください。
費用保険金の補償付きの保険の場合には、仮住まいのホテル費用等の諸費用分の保険金(限度額等の条件あり)を受けることが可能です。
★火災保険に加入していない場合
例えば、
・新築住宅が完成し引き渡しを受けているのに入居前だから加入していなかった。
・更新時期をうっかり忘れてしまっていた。
・火事を出すわけがないと必要ないから意識的に加入していなかった。
・明日加入する予定だった!
理由は様々ですが、火災保険に加入しなければ当然何も起きません。
ケース・バイ・ケースで加害者の加入している保険、または加害者の負担で補償してもらえる場合もあります。
こちらの記事では、加害者が入っているかもしれない保険、千葉の事故のその後の顛末については割愛させて頂きます。別記事を作成してます。
参考記事:千葉のゴルフ練習場倒壊のその後。
とにかく、自分の家の損害は自分の火災保険で守らなければなりません。

ひょう災
雹(ひょう)とは?積乱雲から降る直径5mm以上の氷粒。
ちなみに直径5mm未満の氷粒は「あられ」。(参照:ウイキペディア)
大きいものは直径数センチのものが降ってくる場合もあり危険です。建物・家財にも損害が発生する場合があります。
窓ガラスが割れたり、屋根のソーラーパネルやカーポートの屋根部分に損害が発生する場合が考えられます。
2014年には東京の三鷹周辺、2017年には東京の豊島区・板橋区周辺で発生し駒込駅の屋根が大破。
雪災
雪が原因の災害は、大雪・豪雪ばかりでなく雪崩の場合も含まれます。
・大雪の重みで屋根が壊れた
・雪が原因でアンテナや雨どいが壊れた
・雪の重みでカーポートが傾いた、物置が壊れた
・屋根から落ちた雪でエコキュート、給湯器が壊れた
雪が原因であっても「融雪洪水」は火災保険では【水災】での補償となっています。
隣の家の屋根から落下した雪が原因の場合
自分の火災保険で補償を受けられます。
原因が自然災害のため隣家への損害賠償の請求が出来ません。
そのためにお隣の「個人賠償責任保険」は適用されません。
自分の家の屋根の雪が隣家に損害を与えてしまった場合
自分の火災保険でお隣の損害の補償は出来ません。
「個人賠償責任保険」は原因が自然災害のため適用外となってしまいます。
まとめ
「風災・ひょう災・雪災」は3点セットとなっています。どれかが不必要だからと一部を外すことは不可能です。気象条件が大きく変わってきて何が起きても不思議ではありません。
セットになっていることで安心感があります。
自分の家は自分で守らなければなりません。火災保険は必要保険ですし、何よりその中身が重要です。補償内容に「自然災害」が入っているか?「新価払い」になっているか?「家財」も補償されているのか?現在ご加入中の保険の見直しも行ってください。
不明な点・ご質問などは、「お問い合わせ」または「メール」でお気軽に。
現在、メール相談は完全無料で行っています。

